トレーニング・コンディショニング 頭のなか

バスケットボール選手にベンチプレスは必要ない?

トレーニングコーチの瀧本銀次朗@PerformarsAct)です。

NBA.comに、こんな記事を見つけました。

ケビン・デュラント「NBA選手の実力を測るのにベンチプレスは不要」

この記事に、どこまで選手本人の考えがただしく載っているのかはわかりませんが、読んでみて色々と考えることがあったので書いてみます。

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バスケットボール選手の実力を測るのにベンチプレスは不要?

バスケットボール選手の実力は、バスケットボールをプレーすることでしかわかりません。

もし、ベンチプレスの挙上重量や一定の重量の挙上回数でバスケットボール選手の実力が分かるなら、パワーリフターのほうがよっぽどバスケットボールが上手いということになってしまいます。

ということは、バスケットボール選手の実力を測るのにベンチプレスは不要なのか?といえば、それは必ずしもそうとは言えないのではないでしょうか?

フィジカルの側面からみれば、ベンチプレスをどのくらい挙上できるのかというのも、上半身の筋力テストとしては有効だと思います。

ただ、フィジカルが強い=バスケットボール選手として実力がある、というわけではありません。あくまで、フィジカルの強さの判断材料のひとつとしてベンチプレスをやったっていいんじゃないか?ということです。上半身のプッシュ動作の筋力を知りたかったら、ベンチプレスはとても役立ちます。

たとえば、バスケットボール選手ならベンチプレスに合わせて、メディシンボールチェストパスの飛距離の測定を同時に行うことで、パスやシュートの飛距離を伸ばすために主にどういったトレーニングがその選手に有効か?を判断しやすくなるかもしれません。

バスケットボールでパスやシュートを繰り返すドリルがいいのか、メディシンボールのような軽めの負荷を用いて高速パワーを向上させるようなトレーニングがいいのか、はたまたベンチプレスのような筋力を鍛えるエクササイズに力を入れたほうがいいのか…

ベンチプレスに限らず、様々な側面から選手自身の特徴を知ることで、よりパフォーマンスが向上するためにはどういったトレーニングを行うことが効率的なのかを考えることができます。

無理に測定として行わなくても、フィジカルトレーニングの一環としてこのようなエクササイズを取り入れて、何が得意で何が苦手か?を把握するだけでも、伸ばすべきポイントが見えてきます。

バスケットボール選手としての実力を測るためにベンチプレスは不要か?といえばそうではありませんし、かといってベンチプレス自体がバスケットボール選手の実力を測れるものではありません。

どのトレーニングもそうですが、どう活用するか、どう解釈するか、を考えながら行っていれば、「必要」「不要」という極論の話にはならないはずです。

ただ、記事を読む限り、ちょっと違うところに私は目がいきました。

フィジカルコーチに笑われた?

記事の中には、Kevin Durant本人のこんなコメントが書かれていました。

「すべてのフィジカルコーチが僕を見て笑っていやがった。僕が185ポンドを上げられないことを、互いにクスクス笑い合っていたんだ。」

もしこれが本当だとしたら、選手がベンチプレスをここまで毛嫌いするのもわかります。笑ったフィジカルコーチたちは、どういうつもりだったのでしょう?

フィジカルの良し悪しはパフォーマンスのほんの一部でしかありません。バスケットボールはフィジカルを競い合っているわけじゃないし、ましてやベンチプレスの重量を競い合うスポーツでもありません。

この記事の「ベンチプレスは不要」という考えは、見方によってはそうでもないんじゃないかと思うのですが、選手を感情的にさせてしまったフィジカルコーチの影響も少なからずあるように思えてなりません。

Kevin Durantは身長206cm。ウイングスパンはなんと225cmもあります。腕がこれだけ長ければ、ベンチプレスの挙上重量にもそれなりに影響が出ることくらいはフィジカルコーチもわかると思うのですが…

しかもドラフト指名された時の彼の年齢は18歳です。身体ができていなくても仕方のない年齢ではないでしょうか?

選手とのコミュニケーションは、本当に気をつけなければならないと強く感じた記事でした。選手に対する尊敬の念や仕事に対する誠実さを忘れてしまうと、私も同じようなことを選手にしてしまいかねません。

手段のひとつでしかないベンチプレスを選手がやることにこだわる必要はありませんが、こういったことが原因でもし『不要』と思われてしまうのなら、それはとてももったいないことです。


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